二人の穏やかな日常

「斎藤さんあんま喧嘩腰にならないでくださいよ、らしくないですよ」
「そうそうお前の一番の長所は平和主義者なとこだろ」


適当にトミーくんに注文を告げたあと、トミーくんが去ったところで、前原さんと兄ちゃんに注意された。


「まあ俺もあいつは気に食わないな」
「さすが智輝。お前分かってる」


四歳ながら事情を知らず敵を見分けられるとは、智輝も敵ではあるけど、敵ながらあっぱれ。



「お待たせしました」


暫くしてまたトミーくんが、俺たちが注文したものたちをトレーに乗せて持ってきた。

智輝のオレンジジュース、兄ちゃんのジンジャエール、前原さんのアイスココアが置かれて、最後に俺のアイスコーヒーが、どん、と勢いよく乱暴に置かれた。

吹き出してから必死に笑いをこらえてる兄ちゃんを一睨みして、トミーくんを見上げると、偉そうに俺を見下ろしている。

何だこいつ。
< 155 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop