二人の穏やかな日常

「ほ、ホーリー!?」
「おいトミー!お前俺のこと散々たぶらかしといて結局まだまえほっぴーのこと気になってんじゃねえか!」
「ち、違うよトミー!」
「何も違わねえよまえほっぴーの写真だって欲しがるし!その気が無いなら思わせ振りな態度してくんなよ馬鹿!」
「そんなことないよ俺が愛してるのはホーリーだけだ!待ってくれ!」


教室を飛び出していったホーリーくんを、トミーくんが走って追いかけていった。


「……」


四人残されて、無言で飲み物をすすった。

とんだ修羅場を見せられた教室内全体、静まり返っている。


しかしホーリーくん、なんだかんだ言いながら自らを犠牲にしても俺と前原さんの恋を応援してくれる勢いだ。

いやもしかして本当にトミーくんのことが……いやでも俺に女の子紹介してくれって……両方いけるとか?


「まあなんでも良いか!めでたしめでたし!」


気にしない気にしない。
ひとしきり笑ってご機嫌でアイスコーヒーを喉に通す俺を、三人が奇妙な目で見ていた。


「ていうかホーリーが言ってた私の写真って一体……」
「気にしない気にしない。文化祭楽しみましょう、初めての二人のデートでもありますし」
「はあ……」


心に引っ掛かるものがなくなって、ようやく心から文化祭を楽しめる気持ちになった。ところで。


「すみません!」


いきなり大きな声の子が教室に入って来たかと思えば、俺のもとへ飛んできて、その子はガチッと俺の腕を掴んだ。
当然知らない子なわけだけど。
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