二人の穏やかな日常

「あ、すみません……」
「本当どこ行ったんでしょうね。この間ゴミ出しの後家に戻る道で落ちてないかなーって思いながら歩いたんですけど」
「え」


キョロキョロしながら歩く斉藤さんの言葉に、軽い衝撃。
と、少しの申し訳なさ。
と、何故か一瞬激しくなった心臓の鼓動。

すみませんもありがとうございますも上手く言えず、それより先に隆二が話し出した。


「そういえば百合さ、」
「ん?」


なんだったんだ今の心臓の動き。
びっくりした……。

と、すぐに落ち着いた心臓を押さえながら隆二を見下ろした。


「この間ドラマで玄関の外の植木鉢の下に鍵隠すシーン見て、やってみようとか言ってたよな?」
「……ああっ」


汚い声で短く叫ぶと、そのまま階段をかけ上った。


「お前!まさかっ」
と走ってついてくる隆二と、

「えっ?」
と更にその後ろを着いてくる斉藤さん。


止まることなく階段をかけ上り続けてそのまま滑るように家の前に置いてある植木鉢を持ち上げた。
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