二人の穏やかな日常

「……あんじゃねーか!」
「……あったね」


私が何か言うより前に二人がリアクションを示した。

そうかそうかーここかー。そうだそんなドラマ見たなー。


「すみません斎藤さん。探してもらったのにこんなしょうもないオチで」
「いえいえ。見つかって良かったですね」


鍵がない私を家に上げてくれた上に。
その後も鍵がどこに落ちてあるのか気にかけてくれていた上に。
一階から四階まで一気に走らされた。にもかかわらず。

斉藤さんやっぱり今日も笑ってる。


「おい百合、俺にありがとうだろ」


斉藤さん、眩しい。


「これから斎藤さんが出てる雑誌買いますね。……何に出てるか知らないけど」
「ですよね」


斉藤さんが引っ越してきた日、チャラチャラした人だと思った偏見たっぷりの私を、どうかお許しください。


「なあ百合、俺にありがとう、は?」
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