二人の穏やかな日常

はー、なんか疲れた……。

部屋に戻ってからミルクティーを机の上に置いて、そのまままたベッドに仰向けに倒れた。
ぽすん、と音をたてる。


ジャージのポケットからさっきの鍵を取り出して、掲げるようにしてじっと見つめる。
見つめながら、考えた。

斉藤さん、探してくれてたんだ……。
斉藤さんってもしかして、いやもしかしなくても、かなり優しい人?


今までは斉藤さんのあの穏やかな笑顔を見ても、人間関係を円滑にするためだけのもの、ただの愛想、なんて思っていたけど。

あれ、ガチで穏やかで優しい人だ……ていうかもうそうとしか思えないんだけど……。


……で?
斉藤さんが良い人だと分かったのはすごく素敵なことだよ。

それで、このむず痒さは何だ?


なんだか、嬉しくて、そのくせどこかモヤモヤと気持ち悪くて、だけどやっぱり嫌な感じはしない、不思議な気持ちだった。

そして、なんだか瞼が重くなっていって段々思考がぷつりぷつり、途絶えてきた。
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