二人の穏やかな日常

「そうだよね。あとやっぱりイケメンだし。彼氏にするには全然ありな人だと思うけど」


ちっちが足を組んでネイルしたての爪を弄りながら言った。
発言から何からギャルギャルしいしネイルばっちりの女子高生って何なんだ。


「まあ確かにまえほっぴーに恋愛は向いてなさそうだけど、一度男を知るのも悪くないってこった!」


そう言ったホーリーは、私の肩をぽんと叩く。

私が恋愛してきてないから余計にそう思うのかもしれないけど、この二人はチャラい気がする。それともこれが普通なのか。


何故か二人に背中を押されていて、もう、行くことは確定の流れのようだ。

ただだからといって付き合うつもりは、やっぱりないし。
付き合うつもりはない人と、しかも付き合うつもりはないのに向こうは私が好きだと言ってくれてる状態で、そんなデートみたいなこと、して良いんだろうか。

倫理的に問題ないだろうか。


「とりあえずまえほっぴー、ジャージとかで行っちゃ駄目だよ」
「い、行かないよ」
「まともな服ちゃんとある?」
「……」


私はあのじじくさい斉藤さんに心配される程の女だ。

まともな服?あったかなあ?

小学生までは学校でも私服だったからワンピースとかスカートとかもあったけど、中学に入って制服になってそれ以来は……。


「無いんだね。取り敢えず日曜日、出掛ける前に、まえほっぴーの家行くね。いっぱい服持っていくから片っ端から合わせていこう」
「お前良かったな!良い友達持って!」


ていうかなんで二人がこんなに楽しそうなの?
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