二人の穏やかな日常

「まえほっぴー?」


自問自答していると、ちっちが不審そうな目で私を見ていた。


「あ、ね、ねえちっち、ちょっとこれ見て」
「男物の雑誌じゃん」


この間買った、例の雑誌だ。

ちっちは受け取ってぱらぱらとめくり始める。


「これに、お隣さんが載ってるの」
「へー!あのあんま仕事ないって人?どれどれ?」
「この人」


雑誌の中の斉藤さんを指差した。
伏し目がちで、いつもの斉藤さんの雰囲気とは違って大人っぽい色気がむんむんと出ている写真だ。


「ほぉこんなイケメンがこの壁の向こうに……」


ちっちはよだれを拭うような仕草で部屋の壁の向こうを見透かすような目をした。


「格好いいよね?」
「うん」
「一番格好いいよね?」
「え?一番?」


ちっちが雑誌から目を離しぱちぱちと瞬きをして私を見た。
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