二人の穏やかな日常

「となると話は変わってくる……」


暫く黙ってから、遠慮がちに言った。


「そうなの?」
「とりあえずこのページの中だとこの人とこの人の方が格好いい。あ、この人には勝ってるかな」
「ふうん……」
「優しそうな顔だなあとは思うけどね」


ちっちは勢いよく雑誌を閉じて私に返した。

受け取りながら、斉藤さんは確かに優しい。
それは顔に出てる。

そう考えた。

いつもふわふわ笑ってるイメージだし、怒った顔が想像つかない。
あの笑顔はただ優しいだけじゃなくて、いつも私を不思議な気持ちにさせる。


「私もう帰るね?まえほっぴーもそろそろ出た方が良いんじゃないの?」


よっこいしょ、と言いながら立ち上がったちっちを見上げる。


「え、もう?」
「私も暇じゃないの。休日だし」
「休日は休むためにあるんだよー」
「……まえほっぴーって本当に高校生らしくない。ほら、一緒に出よっ」


うぁーい、と言って立ち上がる。

立ち上がると余計ワンピースの丈の短さを実感して、なんとなく落ち着かない。
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