二人の穏やかな日常

ちっちと別れたあと集合場所の駅まで着くと、既に富井くんが待っていた。

うーん、お洒落だ。
良かった、ジャージで来なくて。


「富井くん、お待たせしました」


声をかけると、びくんと反応した。


「百合ちゃん、おは、おはようございます」
「あ、おはよう」


暫く二人の間に沈黙が流れたかと思えば、富井くんは「びっくりした、あんまり可愛いから……」とおずおずと言った。

大好評だ。


「これね、友達が貸してくれた。あ、いつも側に居る子。ジャージで行っちゃ駄目だよって言うから」
「ああ、百合ちゃんのことまえほっぴーって呼ぶ、女の子の方?」
「そうそう。あの子はちっちって言うの」
「仲良いよね」


話しながら、試写会のハガキを見ながらその会場まで歩く。
あまり遠くはなさそうだ。
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