二人の穏やかな日常
「いや私はホーリーより勉強できないだけで、より馬鹿なのはホーリーだから」
「馬鹿な奴はそういうこと言うんだよ。やあい負け犬の遠吠え~」
無言でホーリーの脛に蹴りを入れると顔を歪めてから黙りこんだ。
「仲良いよね、三人とも」
「貴様の目は……、節穴かっ……」
それはそれは素敵な笑顔で羨ましそうに言った富井くんの言葉に、ホーリーは脛をさすりながら睨むような目で言い返した。
「なんで?仲良いよ。ねえ俺も百合ちゃんのことまえほっぴーって呼んで良い?」
そのままの表情で言われた言葉に、私も、おそらくホーリーやちっちも固まった。
「よ、呼びたいの?」
「うん!」
小中高とちっちとホーリーは私のことをまえほっぴーと呼んできたけど、小中高と二人の他に、私のことをまえほっぴーと呼びたいという人はいなかった。
「全然良いけど、良いの?」
「やった!じゃあさ、俺にもなんかあだ名つけてよ、皆と同じ感じでさ」
ちっちと私は、同時にホーリーの方を見た。
というのも、私とちっちのあだ名を考えたのは、両方ホーリーだったから。
ちなみにホーリーと決めたのも、ホーリー自身。
だから無意識のうちにホーリーは、あだ名をつける役目のように思っているのかもしれない。
「任せろ任せろ。富井和樹だからな……富井っつったらあれしかねえよ!」
私とちっちと富井くんの視線は、ホーリーに集まった。
ホーリーは嬉しそうに間をためる。早くしろ。
「トミー!」