二人の穏やかな日常
「僕からも一つ質問良いですか?」
「あ、どうぞ」
「前原さんは女子高生ですよね?」
「いかにも」
「制服以外ではジャージ姿しか見掛けないんですが」
「そうでしょうね」
「お洒落して出掛けることはないんでしょうか?」
ちなみに私は今もジャージ姿だ。
膝こそ破れていないものの、膝の布はスカスカ。
「つまり華の女子高生がデートだのしてる雰囲気が一切ないがそれは大丈夫なのかということですか?」
「まあオブラートを消し去ればそういうことです」
斉藤さんとは挨拶程度でしか言葉を交わしたことはなかったけど、そうか、顔を合わせる度にそう思われていたのかもしれない。
「腐っても女子高生ですから」
「ほう」
「その気になれば男の一人や二人ちょろいですよ。……多分」
「その気とは?」
「パンツ見せるとか」
「それはいちころでしょう」
斉藤さんはクスリと笑ってまたコーヒーを口に運んだ。
私もココアを口に運ぶ。
「というか斎藤さんこそ皆の憧れのモデルさんなのに、女の匂いが一切しません。ポテチの匂いしかしません」
「そうでしょうね」