二人の穏やかな日常

ぽかんと口を開けて隆二を見下ろしていると、「閉じろ」と顎を上げられた。


「いけるって、何が」
「だから、脈あんじゃね?って」
「そりゃあ斉藤さん生きてるからね、脈くらい」
「つまんねーボケいらねえんだよ」
「うす……」


生意気になったもんだこいつ。

昔は夜中トイレ行くのが怖くて泣きながら私のこと起こして「お姉ちゃん着いてきて」って言ってきて可愛かったのに。


「おい百合聞いてんのか」
「いつの間にか百合って呼んでるしね」
「あ?」
「聞いてるよ。脈でしょ?あるわけないじゃんこんな小娘に」


言い切って、さっきみたいに手摺に肘をついた。

どんなポジティブ思考なら年上のイケメンモデルがこんなジャージ小娘に惚れるって思えるんだか。


「俺だって確信はねえけどさ、その話だと、少なくとも信用はされてるわけだろ?かなり」
「まあ……それはそうかもね」


曖昧に肯定するふりをしながら、顔はにやけた。

信用されてる?かなり?私が?
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