二人の穏やかな日常
「斉藤さん……」
「はい」
「ありがとうございます嬉しいです……!どこにつけようかなあ」
「家の鍵につけたらどうですか。その大きさのキーホルダーつけたらなくさないでしょ」
「いやあのときはなくしたんじゃないです!植木鉢の下に置いてただけです!」
今更あのときの話をほじくり返してくるとは。
斉藤さんは楽しそうに笑っている。
「盆栽の水やりなかなか楽しかったです」
「本当ですか?良かったらいつでも見に来てくださいね、盆栽」
「え、本当に見に来ますよ?」
「ええ。だって前原さんも盆栽の成長に関わった一人ですから」
盆栽の成長に関わった一人、って……そんなたいそうな。
私ただ一週間水やりしてただけだよ。
だけどお世辞でも嬉しい。
「あ、じゃあ私戻ります!ありがとうございました!クッキーも皆喜びます。あ、あとポテチも一袋いただいちゃいました」
「はいはいー、じゃあ今度は二人でポテチ食べながら盆栽鑑賞会でもしましょう」
斉藤さんが手を振る。
私斉藤さんの手振る姿、好きだなあ。
おずおずと、私も手を振り返してみたけど。
やっぱり私は照れくさかった。