二人の穏やかな日常
自覚
「わあどうしたのまえほっぴーがこんな可愛いのつけてるなんて珍しい!」
結局あのキーホルダーはスクールバックにつけることにした。
女の子らしい華奢なデザインは、革のスクールバックによく合う。
教室に入った途端、女子力高めのちっちはすぐさまそれに気付いてくれた。
「おっ、うまそうじゃん!」
ちっちにつられてキーホルダーに目をやったホーリー。
「うまそうってあんたマカロンの方しか見てないでしょ。ったく食い意地張ってんだから。で、どうしたの?まえほっぴーがこんな可愛いの自分で買うわけないもんね?」
「うん、お隣さんにいただいた」
ちっちの目が見開かれる。
「お隣さんってあの!?モデルさんの!?なになにあの人まえほっぴーに気あるの!?なんでまえほっぴー枯れてるくせにイケメンばっか寄せ付けるの!?」
「いやそうじゃなくて」
「なんだよトミーのライバルモデルかよ!そりゃいくらトミーでもかなわねぇわ!ケケケケ」
「いやだから違」
斎藤さんの大切な盆栽のお世話を一週間頼まれてそのお礼だ。という説明を、挟む隙もない。
「なになにどうしたの?」
と、いつものようにトミーがやって来た。