二人の穏やかな日常

「お前は本当このクラスのやつ並みにこのクラスに来るなあ」
「だってまえほっぴーがいるんだもん。あ、どうしたのこれ。綺麗だね」


トミーも昨日まではつけてなかったキーホルダーに気付いた。


「あのねこれね」
「なんでもないのトミー!」
「お隣に住んでる人が」
「それよりD組はもう古典文法の小テストやったらしいね!?」


何故かちっちに説明をことごとく遮られ、トミーもすっかり「やったけど教えない」と、話題を変えてしまった。

ちっちにウインクされた。
ちっちもトミーをキープするつもりだ……なんて悪女。


「あのねトミー!」


別にわざわざ言わなきゃいけないわけではないけど、キープだなんて落ちぶれた女みたいなことをしたくなくて、もう一度話そうとした。ら。


「おーい前原ー!」
今度はクラスメートの、大きな呼び声に遮られた。


「……何」
「お前今日日直だろうが。黒板消せ」


見れば、昨日の六限の授業のまま、消されていない。


「これ昨日のじゃん。昨日の日直か掃除当番の仕事でしょ」
「良いから良いから」
「ったく……」


何が良いから良いからだよ、としぶしぶ黒板消しを手に取って消していく。

昨日の日直誰だ。ホーリーだ。


「こういうのは背の高い男子に任せな!」


と、チビなホーリーがやって来て私の手から黒板消しを奪った。


「いや元々これホーリーの仕事だし私上まで届くしホーリー私より背低いしあと突然無理矢理格好つけなくて良いから」
「すごいねまえほっぴー。何個ツッコミ入れるの」


ちっちとトミーが呆然とした顔でぱらぱらと拍手する。
私も今のは自分でもよく一瞬で全部拾って突っ込めたなと。
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