二人の穏やかな日常
もう一波乱②
隆二と真剣に綿密な作戦を立て、暫くして帰ってきたお母さんも交えて、より完成度を高めた。
丁度八時を迎えた頃、インターフォンが鳴り。
私が玄関まで走ると何故かお母さんと隆二も着いてきた。
覗き穴から見てみるとそこには、いつもより少し固い表情の斉藤さんが立っていた。
お母さんに「早く」と促され、慌てて戸を開ける。
「お邪魔します。今前原さんから電話掛かってきてあと少しで帰れるから家行って待っとくように言われました。言われていたお酒と、これ、駅の寿司屋で買ってきました」
「あらお寿司まで!すみません気を使っていただいて!お酒もこの子たちが頼んだみたいで……本当すみません」
「いえとんでもありません!」
玄関先の二人のやり取りを、隆二と黙って見る。
お父さんは今頃電車だろうか。
お母さんは斉藤さんから、お酒と高そうなお寿司の包みを受け取った。
お寿司は斉藤さんの心遣い。
お酒は、お母さんが帰ってくる前の私と隆二からの指名だった。
私と隆二じゃ、お酒が買えないから。
「なるべくアルコール度数の高いものを」と。