Office Love
「わ、私、男の人に免疫がないんです。周りから『鉄の女』だって呼ばれてるのも知ってます。それだけガードが堅いって思われてるのもわかってるんです。仕事は出来ても、男の人とお付き合いしたこともなくって・・・」
徐に話し出した貴井は、いつもの鉄壁の貴井じゃなくて、俯きながら、驚くことを告白してきた。
もちろん、百戦錬磨には見ねぇが、男と付き合った事がないとは思ってもみなかった。
「俺のこと、嫌いか?」
再度問質せば、フルフルと首を横に振る。
今まで一度も男と付き合った事がない貴井にとって、俺は危険人物。
そりゃ、防御されても仕方ねぇなって思った、と同時に安堵。
『鉄の女』が俺の前で、鉄の仮面を見事に剥がされてる。
どうやって近づけば彼女の一線を越えることが出来て、彼女を手に入れることが出来るか?
俺の脳は瞬時にフル回転する。
椅子ごと壁まで移動してた貴井に距離を詰める。
怖がらせないように、怯えさせないように、足を進める。
「貴井」
いつもより数倍優しい声で、彼女の名前を呼ぶ。
「胡蝶」
顔を上げた胡蝶に俺の携帯を手渡す。
えっ?って顔で見返して来る胡蝶に、
「電話帳開けろ。女の連絡先、片っ端から消して良いから。」
***********************************
佐々木さんの携帯を渡され、全て女の人の連絡先を全部消して良いと言われた。
けど、私にはそんな事する権利もなくて、渡された携帯を握り占めて彼の顔を見上げた。
ふん、と顎で携帯の電話帳を開けるように指示されたものの、そんなことするつもりもなくて。
いつまで経っても携帯を弄ろうとしない私の手を、携帯ごと握ってくる。
もう一方の空いてる手を取られて、スマホの画面に触らされる。
男の人に触れられるのも初めてで、胸の高鳴りは早鐘の如く打ち続けるだけ。
間近で見る彼の顔は端正で妖艶で。
見惚れてる間も彼の手は私の手を動かし続ける。
ハッと我に返り、彼の手を払う。
「もういいです。もういいですから。」
「何がいいんだ?これ全部消せば、俺の事、信用してくれるだろ?」
「私に佐々木さんは無理です。」
「何が無理なんだ?」
「さっきも言いましたが、私、経験がないんです。男の人と付き合った・・・」
握られてた手がさらにキツく握られる。
そこから全身に佐々木さんの熱が流れ込む様な気がして居た堪れなかった。
「もう一度言う。お前じゃなきゃ、ダメだ。」
その声に、一言に、私は堕ちるしかなかった。
「他の女ならこんなことしねぇ。俺の周りに居る女、全部切ってまで、胡蝶を手に入れてぇんだ。ダメか?」
見つめられるその瞳に嘘がないのは、その瞳が涙で濡れていたから。
どうして泣くの?私のためにあなたは泣いてくれるの?
「きっと、私、佐々木さんの重荷にしかなれない。それでも、良いんですか?」
「それはこっちのセリフ。俺のがお前を想う気持ちは大きいぜ。なんてたって、三課イチ女誑しが、他の女全部切ってでも、お前を手に入れたいって思ったんだからな。」
ギュッと抱き締められる感覚も、男の人腕の中に居ることも初めてな私に何もかもが衝撃で新鮮で
あー、この人に堕ちた私は、もう誰のものにもなれない。
私はもうあなたしか見れない。
「なぁ、君らいつまでそんな甘いことしてんの?早よ仕事戻って来てや、胡蝶ちゃん。」
「ギッ、ギン!!!お前、いつからそこにッ?」
「いつからって、あんまり胡蝶ちゃん、戻ってくんの遅いさかい。」
クククと喉を鳴らすギンはこの会社一の女誑し。
徐に話し出した貴井は、いつもの鉄壁の貴井じゃなくて、俯きながら、驚くことを告白してきた。
もちろん、百戦錬磨には見ねぇが、男と付き合った事がないとは思ってもみなかった。
「俺のこと、嫌いか?」
再度問質せば、フルフルと首を横に振る。
今まで一度も男と付き合った事がない貴井にとって、俺は危険人物。
そりゃ、防御されても仕方ねぇなって思った、と同時に安堵。
『鉄の女』が俺の前で、鉄の仮面を見事に剥がされてる。
どうやって近づけば彼女の一線を越えることが出来て、彼女を手に入れることが出来るか?
俺の脳は瞬時にフル回転する。
椅子ごと壁まで移動してた貴井に距離を詰める。
怖がらせないように、怯えさせないように、足を進める。
「貴井」
いつもより数倍優しい声で、彼女の名前を呼ぶ。
「胡蝶」
顔を上げた胡蝶に俺の携帯を手渡す。
えっ?って顔で見返して来る胡蝶に、
「電話帳開けろ。女の連絡先、片っ端から消して良いから。」
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佐々木さんの携帯を渡され、全て女の人の連絡先を全部消して良いと言われた。
けど、私にはそんな事する権利もなくて、渡された携帯を握り占めて彼の顔を見上げた。
ふん、と顎で携帯の電話帳を開けるように指示されたものの、そんなことするつもりもなくて。
いつまで経っても携帯を弄ろうとしない私の手を、携帯ごと握ってくる。
もう一方の空いてる手を取られて、スマホの画面に触らされる。
男の人に触れられるのも初めてで、胸の高鳴りは早鐘の如く打ち続けるだけ。
間近で見る彼の顔は端正で妖艶で。
見惚れてる間も彼の手は私の手を動かし続ける。
ハッと我に返り、彼の手を払う。
「もういいです。もういいですから。」
「何がいいんだ?これ全部消せば、俺の事、信用してくれるだろ?」
「私に佐々木さんは無理です。」
「何が無理なんだ?」
「さっきも言いましたが、私、経験がないんです。男の人と付き合った・・・」
握られてた手がさらにキツく握られる。
そこから全身に佐々木さんの熱が流れ込む様な気がして居た堪れなかった。
「もう一度言う。お前じゃなきゃ、ダメだ。」
その声に、一言に、私は堕ちるしかなかった。
「他の女ならこんなことしねぇ。俺の周りに居る女、全部切ってまで、胡蝶を手に入れてぇんだ。ダメか?」
見つめられるその瞳に嘘がないのは、その瞳が涙で濡れていたから。
どうして泣くの?私のためにあなたは泣いてくれるの?
「きっと、私、佐々木さんの重荷にしかなれない。それでも、良いんですか?」
「それはこっちのセリフ。俺のがお前を想う気持ちは大きいぜ。なんてたって、三課イチ女誑しが、他の女全部切ってでも、お前を手に入れたいって思ったんだからな。」
ギュッと抱き締められる感覚も、男の人腕の中に居ることも初めてな私に何もかもが衝撃で新鮮で
あー、この人に堕ちた私は、もう誰のものにもなれない。
私はもうあなたしか見れない。
「なぁ、君らいつまでそんな甘いことしてんの?早よ仕事戻って来てや、胡蝶ちゃん。」
「ギッ、ギン!!!お前、いつからそこにッ?」
「いつからって、あんまり胡蝶ちゃん、戻ってくんの遅いさかい。」
クククと喉を鳴らすギンはこの会社一の女誑し。