Office Love
section 5
「新プロジェクトの立ち上げですか?」
「あぁ、七瀬くんと貴井くんにそのアシスタントとして入って貰うことになったから。」
部長から新しいプロジェクトへの参加を言い渡されたのが先週の末。
一課の彩葉と共に選ばれた。
大きな仕事を任されるのは嬉しい反面、そのプロジェクトの責任者が佐々木さんではない事に少々落胆。
忙しくなれば一緒に居れる時間も必然的に減っていく。
「市埼さんの新プロジェクトの人員に選ばれました。」
「知ってる。選んだのは部長だ。ギンじゃねぇから、胡蝶の実力が認められたって事だ、おめでとう。」
ポンポンと優しく頭を撫でてたその手は何故か少し淋し気。
もちろん、私も忙しくなるのは必至で、淋しい気持ちを押し殺す様に、修兵さんの袖を掴む。
私の気持ちを知ってか知らずか、
「今日、俺んち来るか?」
修兵さんと始まったばかりの私にその言葉は刺激的で、でも心の底からそうしたいと思っている私がいる。
握り締めたジャケットの袖はさらにキツく握り締められ、俯く顔を上げられない。
「何にもしねぇよ、そんな緊張すんな。少しでも長く一緒にいてぇんだ。ダメか?」
*******
「忙しくなりそうです。」
隣の席で、無心にパソコンを打っている真子さんにそう伝えれば、不機嫌全開で睨まれ、大きな溜息を吐かれた。
「しゃーないんはわかっとる。部長直々のご指名やからな。ほんまは“おめどとうさん”言うたらなあかんねん。」
諦め半分、淋しさ半分そんな表情で私を見上げる。
私も嬉しさ半分、淋しさ半分な気持ちを隠せない。
大きなプロジェクトへの参加は私にとっては夢の様な事。
けど、そのプロジェクトへの参加は年末まで忙しさに追われると言う事実を突きつけられているのも必至。
きっと今私は泣き出しそうな顔をしてるのかも知れない。
真子さんの顔が歪んで見えるから。
「ちょっときぃ。」
そう言われてついて行った先はカフェブース。
「そないな顔したらあかん。俺かてツライんやで。けどな、彩葉。」
そう言ってポケットから彼のキーケースを取り出した。
その中から一つキーを外すと私に差し出す。
「ええきっかけになったわ。これ、渡しとくわ。好きな時に来い。勝手に入ってもええ。冷蔵庫の中も、風呂も、ベッドも好きなように使え。」
「えっ・・・・・・・」
手に渡されたカギをジッと見つめたまま何も言わないでいると、
「嬉しないんか?」
「嬉しくないわけない!!」
「ほな、何黙っとんねん?」
「いいの?ほんとにいいの?」
「ええに決まっとるから渡しとんねん。ってか、俺がそないしたいねん。いつでも来い。」
「ありがと/////」
手の中のカギはただのカギだけれども、私にとっては真子さんの愛の証に見えた。
「あぁ、七瀬くんと貴井くんにそのアシスタントとして入って貰うことになったから。」
部長から新しいプロジェクトへの参加を言い渡されたのが先週の末。
一課の彩葉と共に選ばれた。
大きな仕事を任されるのは嬉しい反面、そのプロジェクトの責任者が佐々木さんではない事に少々落胆。
忙しくなれば一緒に居れる時間も必然的に減っていく。
「市埼さんの新プロジェクトの人員に選ばれました。」
「知ってる。選んだのは部長だ。ギンじゃねぇから、胡蝶の実力が認められたって事だ、おめでとう。」
ポンポンと優しく頭を撫でてたその手は何故か少し淋し気。
もちろん、私も忙しくなるのは必至で、淋しい気持ちを押し殺す様に、修兵さんの袖を掴む。
私の気持ちを知ってか知らずか、
「今日、俺んち来るか?」
修兵さんと始まったばかりの私にその言葉は刺激的で、でも心の底からそうしたいと思っている私がいる。
握り締めたジャケットの袖はさらにキツく握り締められ、俯く顔を上げられない。
「何にもしねぇよ、そんな緊張すんな。少しでも長く一緒にいてぇんだ。ダメか?」
*******
「忙しくなりそうです。」
隣の席で、無心にパソコンを打っている真子さんにそう伝えれば、不機嫌全開で睨まれ、大きな溜息を吐かれた。
「しゃーないんはわかっとる。部長直々のご指名やからな。ほんまは“おめどとうさん”言うたらなあかんねん。」
諦め半分、淋しさ半分そんな表情で私を見上げる。
私も嬉しさ半分、淋しさ半分な気持ちを隠せない。
大きなプロジェクトへの参加は私にとっては夢の様な事。
けど、そのプロジェクトへの参加は年末まで忙しさに追われると言う事実を突きつけられているのも必至。
きっと今私は泣き出しそうな顔をしてるのかも知れない。
真子さんの顔が歪んで見えるから。
「ちょっときぃ。」
そう言われてついて行った先はカフェブース。
「そないな顔したらあかん。俺かてツライんやで。けどな、彩葉。」
そう言ってポケットから彼のキーケースを取り出した。
その中から一つキーを外すと私に差し出す。
「ええきっかけになったわ。これ、渡しとくわ。好きな時に来い。勝手に入ってもええ。冷蔵庫の中も、風呂も、ベッドも好きなように使え。」
「えっ・・・・・・・」
手に渡されたカギをジッと見つめたまま何も言わないでいると、
「嬉しないんか?」
「嬉しくないわけない!!」
「ほな、何黙っとんねん?」
「いいの?ほんとにいいの?」
「ええに決まっとるから渡しとんねん。ってか、俺がそないしたいねん。いつでも来い。」
「ありがと/////」
手の中のカギはただのカギだけれども、私にとっては真子さんの愛の証に見えた。