Office Love
俺が休日出勤になる様に仕事を押し付けたんやから、七瀬が今日出勤してるんはわかってる。
昼前、OLに人気のランチをテイクアウトして、フロアへ向かえば、今まさに昼飯を買いに出ようと財布片手に立っとる七瀬が見えた。


持ってた紙袋を差し出せば、暫し間があって受け取られた。
何の間や?嫌がってんのんか?

中身を確認した七瀬は中身の量に驚く。
一人で食べるんちゃうと告げれば、なんや可愛ない事を言いよる。


「どうして、平川さんまで一緒に食べるんですか?」

「あかんのかい?」

と聞き返せば、さらに可愛ないこと言いよる。

「ダメなことはないですが、私となんか一緒に食べなくても、平川さんなら休日をご一緒するくらいの人、いらっしゃるでしょ?」


ははぁ~ん、ちょっとは俺に見込みがあるんちゃうか?と思て、


「あー、ここにおるわ。目の前におる。」


言うたら、顔真っ赤にして、財布落としよった。


ビンゴ!!


彼女の素っ気ない態度は俺への気持ちの裏返し。
せやかて、まだ強がったこと言いよる。

「誰にでもそんな事、仰ってるんでしょ?私は堕ちませんよ。」

はぁ?なんでそない頑固やねん。
心ん中ではそない思てても、口では大口叩いてた。


「簡単に堕ちてもたら、おもんないわ。そうやっていつまで強がり言うてられるか?やな。」


お前の気持ちがわかっただけでも収穫や。
俺は諦めの悪いヤツやし、しつこいねん。
覚悟しときや、七瀬。


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