ダメージ
「行ってきます…」

そう、誰もいないくらいリビングに向かってあたしは呼びかける

当たり前だけど何の返事もない

「はぁ…」 と、一つ小さなため息をしてまたあたしは足を動かす

7時45分。

いつもと変わらない朝

少し違うのは、ぽつぽつと雨が降っていることくらい

透明なビニール傘を広げ、重たい足を一歩ずつ踏み出す

車が横切る音が響き、たまに車が踏んだ水たまりの水が思いっきりかかる

朝から嫌になる

学校はすぐ近くだから歩いて10分くらい

もうすでに見えてきている

静かに通り過ぎるチャリ通の生徒

制服が一緒だから多分同じ学校

目を合わせたくないから、下にうつむき、顔を見られないようにして歩く

どうせあたしの顔なんて誰も見たがらないだろうけど

誰と通学するわけでもない

話し相手なんて通学どころか学校に着いてもいない

それも、もう慣れた

一人が当たり前になってる

自分から話しかける勇気なんてないし、もちろん誰も話しかけてなんてくれない

しかも、今まさにあたしは『避けられている』

今という言い方は少し違うかもしれない

ずっと

両親も入れるなら産まれたころから

同級生なら少なくとも幼少期からかな

友達なんていたことがないし、姉妹だって、親戚だって、ペットだっていないんだから、こうなるのもしょうがない

どんどんそれはエスカレートして行って、現在は避けられているどころじゃない

世が言う、一般人にとっては自分と遠い世界だと思っているあの、『いじめ』

まさに今それ状態

理由、知りたい?

それはまた説明することにするね


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