ダメージ

計画通り。

放課後、強引に連れていかれたのは学校から歩いて20分ほどの所にある、キラキラとした可愛らしい雑貨屋

真子の心の闇とは正反対で夢の様な世界
ふわふわとした雲に見立てた綿や、ユニコーン、壁にはラメ掛かった虹も描かれている

これがまさに女子の中で流行っている『ゆめかわいい』というものか

みんな口を揃えて「可愛い可愛い」と言うけれど真子にはとてもそれが分からない

「あ、財布忘れた」

そう言ったのは宮西彩空(みやにしさら)

(サザ〇さんか、お前は)

グループがどよめく

「もー、最っ悪。まじ何も買えんじゃん」

「しょうがないよ、彩空、諦めよ」

文愛が慰めた

それでも彩空のわがままは止まらない

「え、無理無理無理ぃ!もう来れないっしょ!?」

彩空の顔に冷や汗が滲む

「そうだけど…、どうするの?」

唯がまとめる

「色々方法はあるでしょ!例えば…、その…貸してもらうとか…」

この言い方はとっさにでた発言じゃない

真子はすぐに分かった

前から仕組まれていたんだ

「お金を?」

確認のために、真子は聞く

「そーだよ!それ以外ないっしょ!」

彩空は本気で貸してもらおうとする気だ

「え…、うちらは無理だよ?自分の買うので精一杯。前から欲しかったのもあるし」

文愛が断った

しかし、彩空は何故かニヤニヤしている

まるで想定内かのような様子だ

「だから…、真子に貸してもらったら?」

仁加が最後の一言を言い切った

その時、突然極度な体の震えが真子を襲った

(まただ…、またあの感じ)

ずっとこうだ

ターゲットにされていじめられる時は、いつもこの震えが真子のもとにやってくる

手も、足も全て 震える

おまけに鼓動までもが速くなり、心臓がうるさい

(はぁっっ…、苦しい…、えらい…)

誰も、真子が過呼吸状態になっている事に気付かなかった
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