彼と彼女の不思議な関係。
間接的に。
ひなはジムでまさかの事実を知る。
まだ文とは付き合っていないころのことである。
文さんと仲の良い尚也さんが受付にいてパソコンをカチカチやっている時のこと。
「なんかねー。ジムの中で付き合ったりとかはあんまり良く思われないみたいなんだよ。ここはほら、真面目に練習したりプロ目指してる人もいるからさ。出会いの場として利用されるのはちょっとな。と遠回しに代表が言ってた」
「....えっと。つまり?」
「うん? ひなちゃんは真面目にやってるし大丈夫でしょ。まあ文といい感じなのはバレてるけど」
「ウッソ。そんなわかりやすい態度とってますか」
「文には容赦ないよね。関節も絞めも、とことん。目がちょっとマジだし、すごい真剣に話聞くよね。」
(まさか、そんなに自分のことを見られているとは。)
「すごい観察力ですね。」
「いや、だれが見てもなんとなくわかるもんだよ。」
「うーん。なんか付き合うとか公私混同しそうだし気まずいですよね。ジムは練習したくて来てるわけだし」
「それは大丈夫。胴着姿でいちゃいちゃしたらすぐ追い出すから」
すごい真面目な顔でさらっと言う尚也さん。
眼鏡が似合うきりっとした顔をしてるのに寝癖がぴょこっとあって面白い。
「あはは。それは絶対ないですよ。文さんが倒れちゃいます」
「お。よくわかってるね。文はピュアだからなー。まあ普通に男子だけど」
尚也さんは作業が終わったのかパソコンを閉じた。
「はい。手続き終わったよ。次の月からは何回来ても大丈夫だし、シャワー、ロッカーも使えます。これ書類ね。一応確認して」
ファイルに入れられた書類を受け取り確認する
「ありがとうございます。これで学校帰りも練習来れます。」
「うん。ぜひぜひいっぱい練習来て強くなってね」
「はい。ありがとうございます。じゃあまた」
「はーい。お疲れ」