To smile
目の前に帰りたい場所があるのに
何もできないもどかしさに苛立つ私の後ろで、
男は相変わらず何も関心がないように
白砂の上に寝転び、目を閉じている。
「あの…、どう思いますか?
何か戻れる方法とか思いつきませんか…?」
何も期待はしていないが、
2人の間の沈黙か嫌で問いかけてみる。
すると、男は目を閉じたまま静かに答えた。
「その湖の中に飛び込んでみれば?
まぁ、川の水と同じだと考えれば、
死ぬかもしれないけど…。」
なるほど…。
確かに湖の向こうに現実世界があるなら、
湖の中から行けるかもしれない。
でも、この人の言う通り
死んでしまう可能性も高いよね…。
私は湖を見つめたまま、暫く考えこんだ。
…このまま何もしないよりは、
少しでも向こうに帰れるかもしれない
可能性にかけよう…!