To smile


「うそ…!!何で!?

私まだ戻ってこれてないの!?」


男は私に気づかれていることに

驚いているような顔をしている。



突然大きな声を出してわめく私に驚いた妹が、

慌てて私の肩を抑え、

私の見ている方向を振り返った。


「お姉ちゃん、どうしたの?

誰もいないよ?

大丈夫だから、落ち着いて。」


……。

誰もいない…?

あそこにあの男がいるのに?

亜美には見えてないの…?


呼吸が乱れ、冷や汗をかきながら、

男のいる入口をじっと見ていると、

騒ぎに気づいた医師と看護師が

次々と男をすり抜けて病室へ入ってきた。


その様子を見た私は、

再び意識を失ってしまった…。

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