To smile
次に目を覚ました時には、
部屋の灯りは消え、
辺りに起きている人の気配はなく、
すでに夜遅い時間になっていた。
ここは…病院…だよね?
良かった。戻って来たのは夢じゃなかった。
一安心すると、ベッドに顔を伏せて眠る
母に気づき、声をかける。
「お母さん…。」
私の声に弾かれたように顔を上げ、
母が目を覚ました。
「笑咲…!良かった。
また眠ってしまうのかと思った…。
お医者様呼んで来るわね!」
母はナースコールのボタンを押すと共に、
急いで病室をかけ出して行った。
母の背を見送り、
入口を見て男のことを思い出す。
さっきの男の姿は夢であって欲しい…。
そう願う私の望みもむなしく、
男が病室の入口に姿を現した…。