To smile

ようやく口を開くと、

私はうつむきながら尋ねる。


「ハル…でもいいかな？」


「え…？」


「男の人の名前、

呼び捨てとかしたことなくて…。

ハルならあだ名っぽくて大丈夫かなー、

って…思った…んだけど。。」



自分で言ってて恥ずかしくなってきた…！

私絶対今顔真っ赤だよね…。


横目でチラッと確認すると、

ハルトさんはうつむいている。


そして、肩を小さく震わせたかと思うと、

大きな声で笑いだした。


「あんた、おもしろいな。

今時そんなこと言う純情な女がいるなんて

思わなかったよ。

ハルでいいよ。好きに呼びな。」



さっきまで恥ずかしさでいっぱいだったのに、

私はハルの笑顔に目を奪われていた。


なんだろう…。

なんか、

ハルの笑顔を見ると嬉しくなる。


ハルはひとしきり笑うと、

改めて私に向き直った。


「笑咲…。」


突然のことに、不覚にもドキッとした。


「正直どうでもいいと思ってたけど、

やるからには俺も頑張ってみるわ。

ありがとな。」



そう言って背を向けたハルの耳は、

心なしか赤く染まっているように見えた。