To smile
とりあえず、早く帰った方がいいよね。
「暗くなると危ないから、
お姉ちゃんと一緒に帰ろうか!」
私が男の子に手を差し出しながらそう言うと、
「うん!」
男の子は嬉しそうに返事をしながら、
手をつないだ。
――― …! ―――
その瞬間、
2人のつないだ手が一瞬光った気がした。
何か…変な感じがしたけど、気のせいかな?
「おうちはこっちだよー!」
男の子は何も気にせず、
私をぐいぐい引っ張って歩く。
「名前は何ていうの?」
「僕はね、ゆうた!」
そんなことを話ながら歩いていると、
ゆうた君はふと立ち止まり、
少し後ろを歩いていたハルの方を見た。
「あのお兄ちゃんは友達じゃないの?
もっと近くに来ればいいのに。」
私とハルは目を見合わせ、
驚きのあまりすぐには言葉が出せなかった。
すると、ゆうた君が突然
「あ、お母さん!」
と言って走り出してしまった。
「今はとりあえず、ゆうたを追おう。」
ハルにそう言われ、
私は急いでゆうた君の後を追いかけた。