To smile


2人の姿を見ながら、私の頬を涙が伝う。

ゆうた君は私の方を向き、笑顔を見せた。



「お姉ちゃんのおかげで、

お母さんにごめんなさい言えたよ。

ありがとう!」



話ながらも、少しずつゆうた君の姿が

薄くなっていく。


触れられないとはわかっていても、

お母さんは必死にゆうた君を

抱き締めるように手を回した。


「お母さん、これからもいっぱい笑って!

僕、笑ってる顔が一番大好きだよ!」


ゆうた君の言葉に、

お母さんは涙を流しながらも

必死に笑顔を見せる。


「ありがとう。

お母さん、ゆうたのおかげでニコニコだよ。」


ゆうた君は満足そうに、

今までで一番の笑顔を見せて、

消えていった…。



「ゆうた……ゆうたぁ…」



辺りに響くお母さんの声は、

暫く止むことはなかった…。

< 26 / 35 >

この作品をシェア

pagetop