To smile
2人の姿を見ながら、私の頬を涙が伝う。
ゆうた君は私の方を向き、笑顔を見せた。
「お姉ちゃんのおかげで、
お母さんにごめんなさい言えたよ。
ありがとう!」
話ながらも、少しずつゆうた君の姿が
薄くなっていく。
触れられないとはわかっていても、
お母さんは必死にゆうた君を
抱き締めるように手を回した。
「お母さん、これからもいっぱい笑って!
僕、笑ってる顔が一番大好きだよ!」
ゆうた君の言葉に、
お母さんは涙を流しながらも
必死に笑顔を見せる。
「ありがとう。
お母さん、ゆうたのおかげでニコニコだよ。」
ゆうた君は満足そうに、
今までで一番の笑顔を見せて、
消えていった…。
「ゆうた……ゆうたぁ…」
辺りに響くお母さんの声は、
暫く止むことはなかった…。