To smile


しばらくして部屋に戻ってきた私の手には、

小さい頃使っていた子供用の室内テント。


「ちょっと狭いけど、これで我満して?」


ハルは一瞬眉間にシワを寄せたが、

無言で頷く。

私は部屋の模様替えをして、

なんとかテントのスペースを作った。


「不便だとは思いますが…どうぞ…。」


申し訳なさそうな私に対して、

ハルは思いの外嬉しそうに見える。


「思ったより全然快適そうじゃん。」


そう言って、早速テントの中に入る。


「あー…意外と居心地いいな。

悪いけど、ちょっと横になってるわ。」


「良かったぁ…。」


私はホッと胸を撫で下ろした。

しかし、さすがに子供用テントには納まらず、

入り口からはハルの足がはみ出ている。

やはり申し訳ないとは思いつつ、声をかける。


「じゃあ私、お風呂いってくるね。

…部屋の中あさらないでね…。」


念のためそう言うが、


「はいはい。ごゆっくり。」


ハルは全く興味がないように答える。


……。

そこまで無関心なのもちょっと傷つくなー。

って、私何考えてるんだろ。

シャワーで頭冷やしてこよう…。


私は顔の見えないハルの方をそっと伺い、

部屋を後にした。

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