To smile
―――〈笑咲side〉―――
お風呂から上がり部屋に戻ると、
ハルはまだ横になっていた。
よっぽど疲れてたのかな…?
っていうか、実体がなくても寝るんだ!?
色々と考えていると、
ハルが苦しそうな声を出した。
「…っ…な」
夢にうなされてるのかな…?
「……うっ…!」
あまりに辛そうな声が聞こえ、
私はテントの中を覗き込み声をかける。
「ハル…!」
ハルは目を閉じたまま辛そうな表情を浮かべ、
必死に手を伸ばしていた。
何か、掴もうとしてる…?
私は思わずハルの手をとり、再び声をかける。
「ハル…!大丈夫?」
すると、僅かに表情が和らいだように見える。
私は再び安心させるように声をかける。
「ハル、大丈夫だからね…。」
――…!――
グッと手を強く握られたかと思うと、
ハルがパッと目を開けた。
「良かった…。苦しそうだったけど、
だいじょ…」
――…!――
全てを言い終わる前に、
私は突然ハルに抱きしめられていた。
「ハ、ハル…!?」
私は恥ずかしさのあまりジタバタするが、
ハルはそのまま動こうとしない。
「悪い…少しだけ…。」
その声が、
少し泣きそうに聞こえて、
私はしばらく動くことができなかった。