CHERRYBLOSSOM
お母さんは涙を拭ってスッと立ち上がった。

「今日は帰るわ。こんな顔見せられないし。
気づかれちゃうしね」

妖はお母さんを出入口まで送ると秋のいる病室に戻っていった。

少し深呼吸をし扉を開けた。
スー…。スー…。と寝息が聞こえた。
まだ寝てるんだ。良かった。
妖はベッドの隣にある椅子に腰かけた。

「秋~。大丈夫だからね」

ギュッと秋の手を握った。
ごめんね…秋。
ホントは伝えた方がいいのかな?
先生が言ったこと。
でもきっと秋は気づいちゃったよね
それもそう…あんな目の前で泣いてしまったのだから。
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