ありったけの「好き」を、君に。
第1章
気付く
美術室の窓から見える桜の木が茶色くなってきた。
私の制服も紺色の長袖セーラー服にかえた。
…眠い。眠い。
秋の4時間目は本当に眠い。
こんなに眠い時間帯に美術を入れてくるのは、反則じゃないか。
そんな馬鹿みたいなことを働かない頭で考えていると、校舎の最上階の隅っこから歌が聞こえてきた。
きっと、第2音楽室から。
4時間目に音楽があるのは、6組か。
最近CMなんかでよく聴く曲だ。
周りの女子の何人かは、爪先を歌に合わせて動かしている。
〜♪ 君がいて 僕がいて そうして笑うだけの 日々が どうか続きますように この恋の花が 咲きますように
確か、サビはこんな感じだった。
来週の合唱コンクールに向けて、みんな頑張っているみたいだ。
ーーー私も、授業頑張らないと。