ありったけの「好き」を、君に。
「チロルチョコ、」



私は掌に乗っているそれをそっと制服のポケットに入れて、机に突っ伏した。



途端、“部屋”に新しい客が走り込んできた。



「ひいちゃん、何、今の!!何!?」



美奈だ。いつものメンバーのうちの1人。足も腕も細くて、小顔で、何より仕草がかわいい。



ミーハーなところもあって、新しい物や恋の話にはすぐに食いついてくる。



「美奈、うるさい。しーーっ」



もし加賀に聞かれていたらと思うと何故か恥ずかしくなり、美奈をなだめた。



「こんな密室にこの距離感、ねえ、2人で何してたの?」



美奈が私に顔を近づけて聞いてくる。



しゃがんで私を見上げる仕草は、天使級。



「何もしてないって。ちょっと愚痴聞いてもらってただけだよ。」



「ふぅん?でも、顔、赤くなってるよ」



美奈はそれだけ言うと、ぴょこんと立ち上がって“部屋”から出て行った。







『顔、赤くなってるよ』






顔、赤く……………………






なってるよ…………………?







「わあああああああ、そんなんじゃない、違うから!おかしい、おかしい!」



私はカーテンに包まってひとり悶えていた。





この気持ちは








なに?







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