ありったけの「好き」を、君に。
疼く
***
「加賀のことが好き」と気付いて今日で2カ月。
時間は飛ぶように早く過ぎていき、もう修学旅行当日になってしまった。
さっきまで首里城を見学していたはずなのに、いつの間にかバスに乗ってホテルへの帰路についている。
……おかしいな。時間経つの、早過ぎない?
なんて働かない煩悩で考えていたら、後ろの席に座るましろに声を掛けられた。
「ひいちゃん、ホテル着いたよ。降りないの?」
は、はやっ!どれだけぼーっとすれば気が済むんだ、私!
「おっ、降りる!待って!」
急いでジュースやお菓子をリュックに詰めて、バタバタとバスを降りた。
「わあっ………!」
バスを降りると目の前に広がるのは、雲一つない真っ青な空とそれより幾らか濃い色の海。
綺麗だ。