ヘヴン







近くのスーパーに入ると、夕方の買い物客たちが一斉に振り返り、驚いたように目を丸くして私を見た。


なぜだろう、とぼんやり思いながら、私は商品棚の間を泳ぐように漂い、目的のものを探す。



歩いていたら、視界の端にひらひらと白くたなびくものが映ったので、何気なく目を向けた。



それは、柱にとりつけられた大きな鏡に映った自分だった。


でも、あまりに見慣れない自分だった。


素肌に白いシーツを巻きつけただけの姿。


そして、腰まで伸びたぼさぼさの髪は、すべて色が抜けて真っ白になっている。


まるでおばあちゃんのような白髪。



いつの間にこんなことになっていたんだろう。


私は唖然として鏡の中の自分を覗きこむ。



それから、胸の奥のほうから笑いがこみあげてきた。



うれしい。


だって、この髪は、魔法の白い粉と同じ色。



少しだけでもあなたに近づいたような気がして、うれしくてたまらない。



私はあふれる笑いを抑えることもせずにふらふらと歩き、文房具が並ぶ棚にたどりついた。


目的のものを目線で探す。


よかった、あった。


あまり需要がないからか、一番下の段で埃をかぶっていた長方形の箱を手に取り、レジへと走った。



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