ヘヴン
それに、あなたは甘いものが好きだ。
コーヒーには砂糖をスプーン二杯、そしてミルクをたっぷり。
仕事で疲れるとチョコレートを一口。
たまに飴玉をなめる。
ときどき「ご褒美だよ」と微笑みながら、私にケーキを買って来てくれる。
小旅行に出かけた先では、冬だろうと寒かろうと、必ずソフトクリーム屋を見つけて、私と半分こにする。
ほら、あなたのことなら私、なんだって覚えている。
汗ばんだあなたの肌は、いつも匂いたつような甘美な香りがした。
ああ………そういえば、あなたは、焼かれたときも、甘い甘い香りを放っていた。
目を閉じて、あのときのことを思い出す。
ぶわりと広がる熱気とともに、四角い穴の中から、無機質な台に横たえられたあなたが出てきたときのこと。
あなたは熱い熱い炎に浄化されて、煙と蒸気になって昇華して、空へとのぼっていった。
そして地上に残されたのは、真っ白な骨と灰だけ。
顔を近づけてみると、あなたの骨から放たれる炎の余韻の熱が、ふわりと私の頬を撫でた。
あなたの骨は、驚くほど白くて、そして不思議な甘い香りがした。
あなたの骨を箸でつまむと、かさりと乾ききった音がして、白い粉がぱらぱらと舞った。
コーヒーには砂糖をスプーン二杯、そしてミルクをたっぷり。
仕事で疲れるとチョコレートを一口。
たまに飴玉をなめる。
ときどき「ご褒美だよ」と微笑みながら、私にケーキを買って来てくれる。
小旅行に出かけた先では、冬だろうと寒かろうと、必ずソフトクリーム屋を見つけて、私と半分こにする。
ほら、あなたのことなら私、なんだって覚えている。
汗ばんだあなたの肌は、いつも匂いたつような甘美な香りがした。
ああ………そういえば、あなたは、焼かれたときも、甘い甘い香りを放っていた。
目を閉じて、あのときのことを思い出す。
ぶわりと広がる熱気とともに、四角い穴の中から、無機質な台に横たえられたあなたが出てきたときのこと。
あなたは熱い熱い炎に浄化されて、煙と蒸気になって昇華して、空へとのぼっていった。
そして地上に残されたのは、真っ白な骨と灰だけ。
顔を近づけてみると、あなたの骨から放たれる炎の余韻の熱が、ふわりと私の頬を撫でた。
あなたの骨は、驚くほど白くて、そして不思議な甘い香りがした。
あなたの骨を箸でつまむと、かさりと乾ききった音がして、白い粉がぱらぱらと舞った。