あの日、あの時、あの場所で。
ーin3年5組 杏奈sideー
私は教室まで全速力で駆けた。

私は勢いよくドアを開けると中に入ってドアを閉めた。

「なんで…あんな事言っちゃったんだろ…」

今更後悔してももう遅いことはわかってる。

でも、後悔する以外にこの気持ちを消す方法を私は知らなかったんだ。

すると

ガラガラガラガラ カタン

「あーんな」

この声は私の親友。

「み…ほ…?」

「どうしたの?なんで泣いてるの?
藤崎になんかされた?」

「なんにもされてないよ…」

「どうした?」

「言った…」

「言ったって、藤崎に?」

「うん…でも、なんで言っちゃったんだろうって…それしか思い浮かばない…」

「藤崎は?なんか言ってた?」

「なんも…ただ黙って目を見開いてから表情が優しくなっただけ…」

「藤崎も藤崎だな…」

「杏奈?美穂?」

「「恭太?」」

「よっ!あ、杏奈〜
お前のプリンスが空き部屋でえらくへこんでたけどなんかしたのか?」

「い、いや…なんにも…」

「そうか…ブツブツなんか言ってたぞー?怖いから早く行ってやれば?」

「や、やだ…」

「恭太。そのくらいにしてあげよう?
分かるけど、その気持ち痛いくらいにわかるけど、当事者に任せた方が早そうじゃない?」

「え?」

「ほら」

美穂が指を指す先には蓮也が立っていた。

「れ…んや…」

「よお。蓮」

「遅かったわね〜?藤崎」

「うっせーよ笑杏奈借りてくぞ?」

「「どうぞどうぞ」」

「美穂…」

「大丈夫だよ。もうなんも怖くないよ。」

「うん?」

「大丈夫だから。藤崎のところに行ってあげて?」

「俺ら、ここで待ってるから!」

「美穂…恭太…ありがとう…!」

「てことでもらいまーす」

「「どーぞ!!」」

< 101 / 114 >

この作品をシェア

pagetop