あの日、あの時、あの場所で。
そして、卒業式が終わった。

杏奈は予想通り涙が止まらなかった。

「杏奈〜。大丈夫か?」

「ヒック…大丈夫!グズッ」

「行こうか笑」

「うん…ヒック」

ーin 空き部屋ー
「杏奈〜。いい加減泣きやめ笑」

「ご、ごめん…」

「いや、大丈夫笑で、付き合ってるかだよな」

「うん。」

「杏奈。俺さ、やっぱり杏奈のことが好きだ。もし、もしな?もしよければ付き合ってもらえませんか?」

「…蓮也…ヒック…はい…!よろしくお願いします…グズッ」

「杏奈。」

そう呼ばれて顔を上げると

腕を引っ張られてぎゅっとされた。

粕谷くんに抱きしめられた時よりも何倍も心地が良かった。

そして、話されたと思うと、チュッと

唇に残るぬくもり。

照れたような蓮也の顔。

「蓮也…!もう!」

「そんな怒った杏奈も可愛いよ」

「キャラ変わってない?笑」

「そんなことないよ?もしそうだとしたら、杏奈のせいだね!」

「えー!私ー?」

「うん!」

「えー笑」

「ねぇ、杏奈。

大好きだよ。これからずっと。今よりもっと。」


そんな言葉にユルユルほっぺの笑顔で答えた日の窓の外には

風に揺られるようにして微笑んでいたのは

君という名の

花だった。





END
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