あの日、あの時、あの場所で。
「あれ?杏奈先輩?」

「ん?あ!茉優ちゃん!」

茉優ちゃんは中学の時吹奏楽部の時に同じフルートを吹いていた一個下の子。

「ご無沙汰しています!お元気でしたか?」

「もう元気元気笑
茉優ちゃんは?看護学部に進んだんだよね?」

「はい!難しすぎて死にそうです…」

「そっかそっか笑」

「杏奈先輩は医学部でしたっけ?」

「そうそう笑もうすぐ臨床試験笑」

「わぁ…大変ですね…これから蓮也先輩とデートですか?」

「……」

「あ…何も言わなくていいです。察しました」

「ごめんね」

「いえいえ!とんでもないです!にしても杏奈先輩変わってませんね!」

「そうかな?私もう少し綺麗になりたいな…」

「なにをおっしゃっているのですか!笑
杏奈先輩は杏奈先輩の魅力があって、そこに蓮也先輩は惚れたんですよ?それを変えようとしたらダメじゃないですか?」

「茉優ちゃん…強くなったね」

「えへへ笑なんて言ってみたんですけどやっぱり考えちゃいますよね、そういうこと」

「うん…」

「あ、でも私1か月後に結婚するんです!招待状送るのでもしよければ杏奈先輩もいらしてください!お世話になったので」

「お相手って誰なの?」

「粕谷駿です!あの、駿が文化祭の時にたいへんご迷惑をかけたとかで…本当にすみませんでした!」

「えぇ!?茉優ちゃん頭上げて!
そのことならもう気にしてないよ?」

「でも…」

「もう大丈夫だよ!ほんとに笑
だからさ、茉優ちゃん。
私が粕谷くんを傷つけた分。
いや、それ以上に幸せにしてあげてね?
それがきっと


茉優ちゃんと粕谷くんが幸せになれる一番の方法だから。

一番近くで笑っててあげて?」

「杏奈先輩…もちろんです!ずっと笑ってますね。駿の隣で」

「うん!これからデート?」

「いえ、これから結婚式のプランをふたりで考えにチャペルへ行くんです!
でも2時間くらい早くついてしまって…」

「そっかそっか!じゃあ、もう少し話せるね!」

「いえ、もう私は行きます!」

「え?」

「だってほら!」

茉優ちゃんが指で指した先には苦しそうに肩で息をする私の愛しい人がいた

「れ…んや…」

「杏奈…探したぞ」

「ということなので、行きますね!
杏奈先輩。ではまた!お幸せに」

「ま、茉優ちゃんも!」

「はい!では杏奈先輩。藤崎先輩。失礼します!」

「「うん!(おう)」

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