あの日、あの時、あの場所で。
第3章 文化祭
グラウンドの木が色づいてきた10月の放課後。
杏奈は朝から何度目かのため息をついていた。
あの日から美穂とはもっと仲良くなり、藤崎くんのことは避けるようになった。
「杏奈〜?幸せ逃げるよ〜?」
「もう幸せなんて残ってないよ〜…」
「えー?笑」
「藤崎くんに幸せと私の生きる気力を吸い取られたかもしれない…」
「瑞江に頼んで返してもらえば?」
「恭太にー?やだよ〜笑できればもう話したくないし〜」
「えー。なんで?」
「だってさー。まぁ、嫌なものは嫌なのー!てか、文化祭明日からだよね〜?」
「うん…カフェでしょ〜?しかもメイド&執事カフェっていうどーなのよ…」
「やだよー…」
「杏奈も接客?そりゃそうか…」
「えー?」
「杏奈が接客やらなかったら営業成績ガタ落ちなのー!笑」
「い、いひゃい。みひょ、いひゃい…」
「みひょって爆笑」
「もう!」
「杏奈ちゃーん!美穂ちゃーん!」
「げ…藤崎くん…」
「俺もいるよ。蓮の影になってただけであって。」
「うわ。瑞江まで…」
「「2人とも、反応ひどくない?」」
「最悪だ…」
「美穂ぉ〜…帰れないじゃん…」
「よし、無視しよ!」
「うん!美穂ー!今日、クレープ食べよ!」
「駅前の?また?」
「アイスにするー?」
「それも食べた。」
「えぇ…うーん。」
「じゃあ、ウチくる?」
「美穂の家!?行く!行く行く!絶対行く!」