あの日、あの時、あの場所で。
ー5分後ー
杏奈は、集中治療室に運ばれて治療を受けている。
俺は3人の代表で、医者からの話を聞いていた。
「まず、杏奈さんは生まれつきの心臓病を抱えています。
杏奈さんは、命に別状がない状況ではありません。容態が急変する場合もあり、その場合は85%の確率で亡くなります。
また、今は応急処置です。このあと、移植が必要になるかもしれません。
一応、杏奈さんはドナー登録をしてありますから、もうドナーは見つかっています。その場合、心臓移植となります。
心臓が体に合わなかったりすることもあり、死亡する確率は低くありません。」
「そんな…っ!」
「厳しい現実ですね。」
「…」
「ただ、それは、もしもの場合です。
今の緊急処置がうまく行けば移植はせずに、おばあちゃんになるまで暮らせます。
今が最大の山場でしょうね…」
「そんな…」
「以上で、医師の説明は終わります。」
「ありがとうございました…」
ガラガラガラガラガラガラ ガタン
「どうだった!?」
「美穂。食いつくな。」
「ごめんね。藤崎。」
「…っクソッ…っ」
「どうした?」
「なんでもっと早く気づけなかったんだろうっ!」
「俺が一番付き合い長いから…」
「ちょっと。二人とも自分を責めるのやめなよ。」
「…っでもっ!」