あの日、あの時、あの場所で。
その後も順調にフリ続け、粕谷くんの番になった。

「西川せーんぱいっ!」

「粕谷くん…」

「考えてくれましたか?返事」

「え、あ、あの…ごめんなさい…」

「えー…悲しいなー…ねぇ、ギュってしていい?そしたら諦めるから」

「え、いや、あの…」

「遅いー!時間切れ」

一瞬何が起きているのかわからなかった


「いや…っ…離して…っ!」

「嫌です。」

胸をグイグイ押すがびくともしない。

改めて男の子なんだなーと思った。

「いやーーーー!!!!蓮也ーー!!
助けてー!」

次の瞬間。

ガッタアアアアアアン

大きな音がしてドアが開いた。

「杏奈!」

大好きな人の声して、安心したら

次の瞬間には安心できる大好きな人の腕に包まれていた。

私は泣き出した。

「もう大丈夫だよ。」

「ありがと…う…」

「助けるって約束したしな。ちょっと耳塞いといてくれるか?」

私は言われるとおりに耳を塞いだ。

だってこのあと起こることがわかったから。

「おい。粕谷。」

「どうしたんですか?藤崎先輩」

「誰の許可得てあんなことしてんだ?」

「自分の?ですかね?」

「お前は、何もわかっちゃいないみたいだな」

「そうですね」

「てことで杏奈は貰っていく。」

「あ、待ってください。一言だけ。」

「あ?」

「西川先輩、すみませんでした。
早く言ってあげないとなにしでかすか分かりませんよ。あの人」

「そうみたい…だね。ごめんね、大声出して…」

「いえ。自分が悪いですから」

「…」

「じゃーな」

「はい」
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