不器用な愛を刻む
「…ふぅ……ははっ。ごめん。
突然だから、驚きすぎてね。」
「ククッ…長い時間 待たせたな。」
夢から目覚めるのが
何だか惜しくてよォ、と
冗談交じりに喜一に告げれば
喜一はクスクス笑いながら
善のそばに腰掛けた。
「……今はいつなんだ?」
「…もう、11月19日だよ。」
すっかり寒くなってるだろう?
と
外を眺めながら言う喜一に
善は薄く笑みを浮かべながら
そうだな、と呟く。
喜一と同じように外を眺め
そう言った善の姿が
どこか寂しそうに…小さく見えた。
そしてそんな善が
静かに喜一へ…言葉を向けた。
「……椿と、婚約してるんだってな。」
「!!」
そう言った善の声色に
喜一は思わず、目を見開いた。