不器用な愛を刻む




…こうして出会った時からすでに

彼は人に有無を言わさない様な
"恐ろしい"何かを秘めていた。




それに圧倒されてか

椿は彼に反論も抵抗も出来ず、
そのまま静かに涙を流した。





そんな様子の椿を
男は静かに優しく抱き締め

何も言わずに彼女の頭を撫でた。





すぐには受け入れられない
両親を亡くした悲しみと苦しみを

涙ながらに
起こった出来事と一緒に

椿はぶつけるように話した。






それを聞いて少ししてから



男は静かに

しかしどこか
確証を感じさせる声で




椿と こう約束を結んだ。







「…その男は必ず俺が討ってやる。
だからお前ェは死ぬな。…生きろ。」





お前を守った両親の思い
ちゃんと受け取ってやれよ。








そう言った男こそ



今もこうして椿のそばにいる
善だった--------。







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