不器用な愛を刻む





『あの夜、
いつもの時間帯に帰ってくるだろうと思って待っていた私は


その時間帯になってやってきた敵を
善様と勘違いして、

聞こえた物音を追って外へ出ました。




それが原因で敵に捕まり
あんなことになってしまいました。



それが結果的に
貴方を、あんな目に合わせることになってしまいました。




本当に、ごめんなさい。

いくら謝っても 償いきれません。

本当に…ごめんなさい。






私がそばにいる事で
貴方にこれほどの迷惑をかけてしまいました。


どんなことをしても
何を言っても

償いきれません。』










そこには

あの夜のことについての
深い謝罪の文が述べられていた。





時々 字が震えたように
揺らいでいるものがあって


どんな思いで

どんな風に書いていたのか、
善には想像できるような気がした。










『そこで私なりに
これ以上貴方に迷惑をかけないために

けじめをつけようと思います。』









次の文でそう書かれていたのを見て


善は眉を寄せて
それを見ていた。






───けじめ?







彼女は何をするつもりなのか、と



善は続いて
その次の文を読んでいった。









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