不器用な愛を刻む
『そんな風に
私に親切にしてくださる善様に
私はいつしか
恩人以上の…感情を抱いていました。
それが決断の邪魔をして
ただの契約だとしても…
結婚をするということに、躊躇していました。
でも
何が本当に
貴方のためになるのかということを考えていたら
私は、決断することが出来たのです。
それが私なりの
貴方への最後の恩返しになると思いながら
喜一さんへ、返事をしました。
貴方の側を離れるために
私は喜一さんと結婚することを選びましたが
きっと、私は離れても
貴方を想い続けてしまうと思います。
気持ち悪い、鬱陶しいと
思われるでしょうけれど、
それが 私の本心です。
ろくにお礼も謝罪もきちんと出来ずに
貴方の元を離れる私をお許しください。
本当に 感謝しています。
貴方と過ごした日々を
私は一生、忘れません。
ずっと、お慕いしておりました。
どうかお元気で。───椿』