不器用な愛を刻む
「茶屋による客ァ、大抵が野郎だ。
何されるか分かったもんじゃねェ。」
───だからダメだ。
善はそう言ってから
朝食を食べ終えると、食器を持って
椿の元へやってくる。
残念そうに眉を下げながら
それを受け取り、
すぐ後ろの洗い場に置くと…
「……っ!」
不意に
ギュッ…と、後ろから
善に抱き締められた。
片腕で抱きとめられるようにされ
背中から
善の熱が椿に伝わる。
それに椿は
大きく鼓動をならしながら
顔を赤く染める。
「……それに俺ァ、
一日中お前とこうしていてェんだぜ?」
そんな俺に そんな願い
聞いてやれるわけねェだろ?
善はそう言うと
いつもの妖美な笑みを浮かべながら
甘噛みをするように
椿の首筋に何度も唇を寄せる。
「っん……!」
思わず漏れる椿の声に
善は愉快そうに笑みを深めて
首筋のある一点にわざと
強く吸いついた。