不器用な愛を刻む








「オメェが必要以上に女と連んで
椿さんに見せつけてたこと言ってんだよ。
それとも何だ?
無自覚でやってたっつーのか?あ?」

「…け、景次さん…!」









2人を第3者として見ていた景次は



いつも椿が善の姿を見て
悲しそうにしていたのを

決して見逃していなかった。







それを可哀想に思って


励ましに話しかけたり
構っていたりしていたのだ。









「オメェが大事にしてねェのに、
椿さんを束縛するなんておかしい話だろうが!」

「俺がこいつを大事にしてねェなんて
お前にはわかんねぇだろ。」

「大事にしてたら
あんな嫌がらせしねェだろうよ!!」










景次が段々熱くなってきて

怒鳴るようになるのを見て
善は眉間にシワを寄せる。





それを見て
椿は善の名前を呼んで


景次へ手を出さないようにお願いする。










「ぜ、善様。
私が悪いんです。
景次さんは優しい方だから、こんなことを言ってくださって…!」

「………。」

「私が全部悪いんです。
景次さんは関係ないので、何もしないでください。お願いします…!」









そんな2人の姿を見て




善はまたも

黒いドロドロとした
感覚が湧き出てくるのを感じる。







───何故庇う?この男を?








接吻する仲であり
愛しているから


傷つけて欲しくないのか?








だとすれば








自分はただの

悪役でしかない───。









(………。)













たった数日で







心は離れて行ってしまったのか?









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