不器用な愛を刻む
「俺もタチが悪かったと自覚してるが…
お前ェもなかなか妬かせるねェ…椿。」
「えっ、いや…その…ご、ごめんなさ…!」
「許さねェ。」
「っ?!」
そう言われて
慌てる椿に
善はいつものように妖しい笑みを浮かべて
彼女へ告げる。
「今日という今日は…互いに償い合いだ。」
「つ、償い合い…ですか…?」
意味深に笑みを深める善に
妙な予感を覚えて
椿は不安げに
彼を見上げる。
「ククッ…
躰全部に俺を刻み込んでやる。
───覚悟しとけよ?」
「っ…?!」
その言葉の意味は
言わずとも椿に伝わり
思わずカッ!と顔を赤く染めた。
「ククッ……残念だが
こっちゃぁ中途半端な愛なんざ更々…お前ェに与えるつもりねェぜ?」
そんな彼女の反応を見ながら
善は妖しく笑みを深めながら
椿の手を取って
店の中へと導く。
「小僧に謝るのは癪だが…
今夜のお前に免じて許すかァ。」
「っ…ぜ、善様やめてください…!」
赤くなる椿を
からかうようにして
善は愉快そうに
笑みをこぼした。