不器用な愛を刻む
「っ……ぜ、善様…?!」
「ククッ、何だよ。
恥ずかしがる必要ねェだろうが。」
今更じゃねェの?椿。
と
照れもなく彼女を抱き寄せ
自分の膝の上に座らせる善に
椿は顔を赤くしながら
バクバク、と心臓を鳴らせる。
「俺ァ……こいつさえ側にいりゃあ
…何でも出来る気がするんだよ。」
「………変わったね、善。」
「ククッ、あぁ…。俺もそう思う。」
椿に関してそう言う善に
喜一はしみじみ感じるように
柔らかく笑みを浮かべて
彼にそう言う。
椿はそんな2人の会話に
居た堪れない様子で
恥ずかしそうにアタフタしながら
善から離れようとする。
「ぜ、善様…!
喜一さんが見てますから、離れて…っ。」
「んー?聞けねェなぁ…。
好きなモンは側に置くことにしてんだ。」
しばらくは離しゃしねェよ?
と
善はそんな椿をからかうように
意地の悪い笑みを浮かべて
彼女の顔を覗き込む。
そして
彼女を抱く腕に力を込めて
そして目を見つめて
甘く囁く───。
「愛なんざ語るつもり無かったんだが…お前になら 言ってやるのも良いな。」
「っ、え…?」
「………愛してる、椿。」
そう言って
椿に優しくキスを送ると
彼女は顔を真っ赤にしながら
目を見開いて、善を見る。
そんな2人の様子を見ながら
喜一はクスクスと笑って
からかいうように言う。
「ねぇ、イチャイチャしすぎじゃない?
独り身の僕には刺激が強いよ。」
「っ…す、すいません!!
ほ、ほら!善様離してください…!」
「ククッ、何言ってんだ喜一。
人タラシがよく言う。」
喜一の言葉に慌てる椿と
平然と言葉を返す善。
そんな風に3人でやりとりをしながら
時間は過ぎていって……